カンタンに読める! 3分で読む源氏物語

不義の恋に堕ちた柏木の死
そして女三宮は出家へ

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柏木

  •  かしわぎ
  •  源氏:48歳、紫の上:40歳、
    女三宮:22歳、夕霧:27歳、
    柏木:32歳、薫:1歳

 運命の子、薫生誕

  柏木の体調は好転する気配もなく年が明けた。柏木は気力を振り絞って女三宮に最後の手紙を書く。源氏に疎まれる現況になったのは誰のせいなのかと女三宮は返事を書く気にならないものの、返信の筆を執った。
  煙となって消えてしまいたいとの返信を受け取った柏木は、最愛の人からの最後の言葉のなんとも言えない儚さに泣き崩れる。

  前の太政大臣(頭の中将)は修験者を大勢呼び寄せて加持祈祷を行い、柏木の平癒を願うが、その見込みは既に無い。

  かたや女三宮も産気づき、明け方に男児を産んだ。(かおる)と命名された。世間は源氏と女三宮の初めての子の誕生を大いに祝福するが、源氏はとても祝う気にはなれなかった。
  女三宮もまたもとより丈夫ではない身体での出産に加えて、言葉には出さずとも源氏の態度の冷たさを肌で感じ、さらに柏木も重篤で今日明日の命であるという中、食事もろくに摂らなくなり、自らも命を断ってしまいたいとさえ考える。

炎

  源氏は薫を抱きあやしにも来ない。女三宮は今後、我が身も薫までも疎まれてしまうのかと悩み、出家を決意した。女三宮と柏木の不義を許せない源氏は、産後の体調不良を理由に出家するのも悪い方法ではないと一旦思うものの、若い身空で世を捨てさせるのはあまりにも惜しいと女三宮を引き留める。

 女三宮の出家と柏木の死

  山に籠る朱雀院は女三宮の現状を人づてに聞き及ぶと、心配でならずお忍びで六条院に足を運ばれた。女三宮は泣きながら尼にしてくれと頼む。最善の婿だと信じて託した源氏との結婚生活は女三宮にとって苦痛であったのかと、朱雀院は出家を承諾した。
  いざそうと決まれば惜しいもので、源氏は女三宮に思いとどまるよう説得するが、聞き入れられず、その日の明け方に朱雀院の手によって髪が下ろされた。源氏は今更ながらに女三宮をいたわしく思う。
  その夜の加持祈祷で六条御息所の物の怪が現れ、紫の上の命を取り損ねて憎らしかったので、女三宮に憑いていたと述べた。

  女三宮の出家を知った柏木は、もはやこれまでとばかりに後に残される女二宮のことを案じる。
  柏木は見舞いに訪れた夕霧に、源氏と行き違いがあって怒りを買ったために心乱れて身体が弱ってしまったと明かす。しかるべき時に源氏に取り成してくれと頼み、また、女二宮のことも見舞ってやってくれと託した。

炎

  そうこうするうちに柏木は逝去し、女二宮はさほど愛情を注がれなかったとはいえ、しみじみと悲しみに耽る。女二宮の母である一条御息所(いちじょうのみやすんどころ)は、内親王は独身を通す習わしであるのに降嫁したあげくに夫に先立たれるとはと口惜しい気持ちで一杯になっていた。
  女三宮も柏木のせいでこのようになってしまったとはいえ、訃報を聞くとあわれに胸が痛んだ。

  3月。薫はすくすくと育つ。出家前とは打って変わって、源氏は毎日女三宮に顔を見せるようになった。薫を抱き上げて顔を眺めてみても、夕霧の赤子のころとは全く似ていない。目元はどこかやはり柏木に似ている。
  前の太政大臣が、せめて柏木が子を残してくれていたら慰められようにと嘆いているものの、かと言って源氏はこの事実を伝えることなどできやしなかった。

 夕霧の思惑

  今際の際で柏木が言っていたことの意味を夕霧はずっと考えていた。女三宮が出家したのは産後の病のせいだとは聞いていたが、紫の上の危篤のときですら許さなかった出家を、なぜ源氏は許したのか。やはり柏木と女三宮の間に良からぬことがあったのかもしれない…

  夕霧は未亡人となった女二宮を見舞いに、一条御息所の屋敷を訪ねた。亡き柏木から女二宮のことを頼むと託されたから、という理由だったが、不思議と義務感からではなく、自然に何度も屋敷に足が向く。
  夕霧は女二宮に「柏木の身代わりだと思って、よそよそしくせず慣れ親しんでほしい」と告げた。

系図
誰が世にか種をまきしと人問はば いかが岩根のまつは答へむ
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