カンタンに読める! 3分で読む源氏物語

源氏たちの新春絵巻
玉蔓はこれからどうなる?

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初音

  •  はつね  玉鬘十帖
  •  源氏:36歳、紫の上:28歳、
    玉鬘:22歳、明石の君:27歳、
    明石の姫君:8歳、夕霧:15歳

 六条院の新春

  年が改まった。皆すがすがしく新春を過ごしている。紫の上は明石の姫君の歯固めの祝い(正月初めに堅いものを食べて歯を丈夫にし、長寿を願う)をしていた。源氏もやってきて、仲睦まじく語りあう。明石の姫君のもとに明石の君から新春の祝いの手紙が届いていたので、源氏は姫君に返事を書かせた。

  源氏は花散里の御殿を見舞う。姿は衰えたものの気立ては変わらず、源氏にとって心落ち着く存在のままであった。
  続いて玉鬘のもとを訪ねる。筑紫で苦労したせいか髪の量はそれほど多くはないものの、山吹色の着物が艶やかで、今を盛りの美しさであった。もっと心打ち解け、紫の上を訪ねてやってくれと源氏は玉鬘に頼み、玉鬘も了承する。

雪の中のつぼみ

  夕暮れ。源氏は明石の君のもとへ向かった。しかし姿は見えず、硯のあたりには明石の姫君から届いた返信と、感じ入って詠んだ和歌の反故がそのままにしてある。源氏は微笑み、その反故に和歌を書き散らしていれば、明石の君が戻って来た。
  新年早々外泊となると紫の上の機嫌を損ねてしまうと思いながらも、明石の君のたおやかさ美しさに負け、その夜はそのまま逗留する源氏。それでも夜が明ける前には退出したため、明石の君は寂しく感じる。紫の上はやはり御機嫌斜めであった。

 二条院を訪ねる源氏

  新年の宮中行事がひと段落したので、源氏は久しぶりに二条院に戻った。東の院には末摘花が暮らしている。唯一の美点ともいえた立派な髪も白髪交じりとなり、もう見る影もないありさまで、しかも寒さでぶるぶる震えてしゃべっている。
  聞けば、温かい皮の衣類は兄の禅師の君に全部あげてしまったという。正直で実直なところが取り柄とはいえ、これではあんまりだ、白地の衣をたくさん重ね着するなりすればよいものをと思い、末摘花のために倉から絹織物などを出させた。

  同じ東の院に住む空蝉のもとにも足を運ぶ。空蝉は尼らしくこじんまりと居住まいを正し、我が物顔にふるまわず、風情もある暮らしをしていた。過去のことを話しつつ、以前に河内の守に言い寄られた苦い話について源氏が既知であることを、なんとも恥ずかしく感じていた。

南天

  今年は男踏歌(おとことうか・男性だけで足を踏み鳴らして歌い舞う宮中の初春の行事)がある。男たちの行列は御所から朱雀院へ向かい、さらに六条院までやってきた。六条院の女人たちも集まって見物し、玉鬘はこのとき初めて紫の上と顔を合わせる。
  男たちの行列の中には夕霧や内大臣の子息たちもいて、源氏は夕霧の歌声の良さを褒めた。

系図
年月をまつにひかれて経る人に 今日鶯の初音きかせよ
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